だいぶんと、寒さが和らいできましたね。
とはいえまだまだ炬燵から離れられない、キステの吉田です。
先日の記事に載せさせていただいた、「紬」につきましては
少しでも、へぇ!と思っていただけましたでしょうか。
着物というのは本当に奥が深いもので、
勉強をすればするほど、疑問に思う事も増えていきます。
このブログが勉強中の方にとって、楽しく、また為になるようなものでしたら嬉しいです。
さて、今回は「染め」がテーマという事で、
まずは、色々なところで小耳にはさむであろう「京友禅」について
少しお話をさせていただきます。
京友禅(きょうゆうぜん)
友禅染は、染めの着物に模様をつけるための代表的な技法のひとつで
京都で作られる「京友禅」、金沢で作られる「加賀友禅」、
東京で作られる「東京友禅」の3つが有名です。
この中で、最初に生まれたのが京友禅となります。
http://dm06.cside.jp/~s06471-1/index.html
京友禅のはじまり
京友禅が生まれたのは、江戸元禄時代といわれています。
それまでは絞り染めに刺繍や箔を施したものが主流でしたが
その技法が華やかすぎるという事から、幕府から奢侈(しゃし)禁止令が出され、
そんな時に誕生したのが友禅染になります。
初めて友禅染を行ったのは、祇園の扇面絵師「宮崎友禅斎」。
糸目糊(友禅糊)を使って白い生地に模様を描き、
染めだす技法を創案したと言われています。
こちらはいわゆる「手描き友禅」といわれるもので、
明治になると、型紙を使って模様を染める「型友禅」も開発されました。
技法について
京友禅は、一般的に分業制度がとられています。
模様のデザイン、下絵、糸目置、色挿し、糊伏せ、地染、
蒸し、水元(水洗い)などの基本的な工程から、
金斎、刺繍などの装飾的なもの、
更に補正や地直しなどの仕上げまでを含めると
約20種の専門職があるそうです。
工程の中の一部を簡単にご紹介します。
◆下絵-白生地に青花で、着物の模様を描く-
着物の模様の位置は、着る人の体型に合わせて調整をします。
模様の位置が決まったら、青花(露草の一種から採集した汁)で模様を描いていきます。
◆糸目置(いとめおき)-糊で模様の輪郭を描く-
染色した際に色が混ざらぬよう、糊で模様の輪郭に線を引きます。
細い筒の中に糊を入れ、指先で絞り出しながら行います。
◆地染(じぞめ)-刷毛で着物の地色を染める-
「糊伏せ(模様の防染)」や「地入れ(染料をしみこみやすくする)」を行った後、
鹿の毛でつくられた刷毛で、きものの地色を一気に染めていきます。
◆蒸し-色を定着させるため、蒸気にあてる-
地染した生地をよく乾燥させたら、蒸しの工程に入ります。
地色の定着のため、濃い色ほど長く蒸します。
◆水元(みずもと)-生地についた糊や、余分な染料を落とす-
かつて「友禅流し」といわれていたもの。
水元に使われる水は、生地にも染料にも優しい軟水(地下水)が使われます。
◆色挿し-手描き友禅は、模様の一つ一つに色を付ける-
糸目糊で引かれた線の中に、淡い色から一つずつ色をつけます。
色挿しが終わると、再び「蒸し」と「水元」を行います。
◆型染(かたぞめ)-型友禅は型を使って模様を染める-
型友禅は、何枚もの型を使って模様を染めていきます。
色の数だけ型紙が必要となります。
◆湯のし-反物の丈や幅を整える-
反物に蒸気を当てて、生地の風合いを柔らかくし
同時にしわや折れを伸ばし、長さや幅を整えます。
◆金彩(箔置)-金箔や銀箔を使用して模様をつける-
箔置は、生地の表面に金箔や銀箔を使って装飾をするものです。
友禅染の模様を引き立てます。
◆刺繍-金糸や銀糸、絹の色糸で模様を埋める-
着物や帯に用いられるのは、日本刺繍です。
金糸や銀糸をはじめ、美しい絹の色糸で、優美な模様を完成させます。
◆紋洗い・紋上絵(もんうわえ)-染め抜き紋をいれる-
紋を入れる場所をきれいに洗い、漂白します。これを「紋洗い」といい、
きれいになったところに紋を描き入れることを「紋上絵」と呼びます。
◆地直し-染めむらや汚れを直す補正作業-
友禅染の最終工程です。
染色の際の不具合をチェックし、きれいに直します。
これで、おきものの出来上がりです。
http://dm06.cside.jp/~s06471-1/index.html
*****
いかがでしたでしょうか。
細かな工程を除き、ご紹介をさせていただきましたが
なんとも手間のかかる作業がたくさんあります。
お手元のお着物や、お店で売っている友禅染の着物は
このような工程を全て経たものになります。
なんだか見方が変わりませんか?
職人さんが一つ一つ丁寧に仕上げたお着物です。
とっても思いがこもったものですので、
機会がありましたら、たくさんお召しになってください。
さて、次回も「染め」についてのご紹介を致します。
お楽しみに!