こんにちは! こだわりきもの専門店キステのM下です。 さて、日によっては日中も涼しい風が吹いて、秋だなあ、と感じることが多くなってきました。 秋はきものにぴったりの季節。といっても、着物にも多くの種類があります。 きものに使われる素材といったら、何を思い浮かべますか? 絹、木綿、ウール、化学繊維…と、その種類は様々。 今回は、一番代表的な「絹(シルク)」について。 素材の特性を知っていて、損はありません。 良いところ、悪いところ、一通り把握して、保管方法や着物選びの際にお役立てくださいね。
絹(シルク)って?
着物の代表的な素材と言えばこの「絹」。 蚕の繭から作られるものを「絹糸(けんし)」といい、繊維の長いものだけを紡いだものが「生糸(きいと)」。 絹は、「生糸」を使って織られたものを指します。 日本人とも長~い関わりがああり、弥生時代にはすでに、絹織物が存在していたようです。 大化の改新のころには、渡来人により養蚕や機織りの技術が伝えられ、平安時代には全国各地に広まっていました。
◎絹の良いところ
●柔らかく滑らかな風合い
なんといっても、絹はその美しい光沢が魅力。 なめらかな肌さわりで、もちろん着心地も良いんですよね。
●吸湿・放湿・保温性がある
絹は、繊維そのものが熱を伝えにくい上、繊維の隙間に空気が多く含まれています。 そのため、肌に触れると温かみを感じ、薄くても保温性に優れているんです。 吸湿性のお陰でさらっと着られ、余分な水分は飛ばしてくれます。 衣服の素材としてとても役に立つ機能ですよね。
●静電気が起こりにくい
天然の素材のため、化学繊維と比べて静電気を起こしにくいんです。 静電気持ちの体質の方には殊に嬉しい部分ではないでしょうか。
●染まりやすい
染料に染まりやすいので、美しい染織物をつくることができるんです。
●紫外線を吸収してくれる
これは女性には嬉しい。しかし、これは諸刃の剣でもあります…
×絹の欠点
●黄変しやすい
上で、「紫外線を吸収してくれる」と書きました。紫外線をカットではなく、「吸収」。 日光に当たったり、時間の経過によって黄色く変化してしまいやすいんです…。 これは、蚕の繭のころからの性質。身を守るためなので、致し方なし、ですね。
●水に弱く、濡れると縮む
性質上、乾いても完璧に元に戻りません。 水をたらりと落としてしまうと、シミになってしまうことも。
●摩擦に弱く、毛羽立ちやすい
美しい繊維ということは、デリケートな素材ということ。 摩擦により繊維束が崩れると、毛羽立ってしまいます。 バッグなど、移動中に何度も擦らないように注意が必要です。 また、自宅での洗濯も控えなければいけません。 間違っても、日光干しをしちゃダメですよ~!
●手入れに手間暇がかかる
絹には湿気と日光は厳禁。 天然素材のため虫に食われやすかったり、カビが発生しやすかったりします。 桐箪笥に入れたり、防虫剤を入れたり、たまに虫干しをしたりと、保管には工夫が必要。
*虫干しって?
日光に当たらない、風通しの良い場所で、着物を裏返しにして掛けておくこと。 湿気を払い、害虫を除き、またシミなどができていないかなど、着物の状態を見るための作業です。 箪笥にしまいっぱなしではなく、年に1回はやっておきたい点検です。 *** いかがでしたか? 美しく、その分繊細な絹素材。 大切に扱って、長く愛用してあげてくださいね。